学生生活最後の学期の予定

【大学院の授業】
もう既に卒業に必要な単位は揃っているのですが、どうしても取りたい授業を三つだけ取っています。学生生活最後の学期だからか理由は分かりませんが、なぜか勉学欲のようなものが内から沸々と湧いてきて、思わず三つも取ってしまいました。具体的には、システム創成のT先生の「環境エネルギー技術政策」とR先生の「技術戦略史・未来社会論」、M先生の「リスクマネジメント」を取りました。
高橋淳先生の授業は、授業が全て英語で行われるため、実践的な英語を使う貴重な機会になると思い受講しました。二週に一回英語でプレゼンがあるので若干大変ですが、内容自体が僕の研究にも来年度以降の仕事にも直接関わることなので、今のところモチベーション高く頑張っています。
R先生の授業は、人間の歴史に学んで未来を見通す力をつけよう、という主旨の授業です。具体的には、Jared Diamondの「文明崩壊」や塩野七生さんの「ローマ人の物語」、井沢元彦さんの「逆説の日本史」、戸部良一さんの「失敗の本質」、山本七平さんの「日本はなぜ敗れるのか」などの文献を題材にして、人間の営みの本質を理解し、大局的な視点を身につけ、今後の日本の国家戦略やエネルギービジョンを策定する一助としようという内容です。僕は高校時代歴史を全く勉強していなかったので(カリキュラム上履修しなくてもいいようになっていました)、毎回授業で知的好奇心が刺激されている気がします。この授業をきっかけに今後自分で世界史や日本史を学んでいく基礎としたいと思い、受講しました。
M先生の授業は、プロジェクトのリスクマネジメント(資源開発プロジェクト等)、企業のリスクマネジメント(投資戦略等)、国家のリスクマネジメント(外交と経済的リスク等)について毎回講義形式で学び、適宜出題されるオリジナルなレポート課題で知識の定着を図ろうという授業です。例えば直近のレポートでは、「製鉄会社が冶金法という技術を用いて太陽電池用ポリシリコン市場に参入する戦略は正しいか否かを判断せよ」というものが出たりしました。個人レベルでも企業レベルでも国家レベルでも、常に不確実性・リスクは付き物だと思うので、今後自分が仕事上で様々な意思決定の場面に遭遇した時に、リスクとどう向き合うか(リスクを取るかそれとも回避するのか、あるいはリスクをどうやって分散・低減させるか)を学びたいと思い、受講しました。



アゴスジャパンの演習講座】
アゴスジャパンの通常講座は二年前の冬学期に受けたのですが、それの演習講座が今学期特別に開講されることになりました。4回の生授業に加えて、全部で18回オンライン上でSpeakingとWritingの添削が受けれるので、力が付きそうだと思い受講しました。受講生はたった4人だったので、中々緊張感があり密に時間を過ごせました。
特に僕はSpeakingとWritingの点数が低いので、この二つのパートを徹底的に訓練して点数を伸ばしたいものです。TMIの海外研修でStanfordのBusiness Schoolの日本人の方にお話を伺ったところ、Stanford MBAに入学するにはToefl-ibtで110点は取っておきたいところだ、とのことでした。個人的に留学は将来行くチャンスがあれば絶対に行きたいと思っています。MBAを取ることになるにせよ経済学か工学の博士課程を取ることになるにせよ、Toefl-ibtの点数は高いに越したことはないと思うので、学生のうちにしっかりと力を付けておきたいです。


修士論文
修論はかなり混迷を極めています…笑 システムダイナミクスという手法を用いて、電気自動車の普及プロセスをモデル化しようというのが今までの方向性でした。先行研究としてMITの論文で、代替燃料車の普及プロセスをこれ以上ないくらい徹底的に緻密にモデル化したものが存在するのですが、当初はそれの改良モデルを作ろうと意気込んでいました。しかしこれに真っ向から挑んでも、MITの論文の粗を探すのは相当難しいこと、さらに「代替燃料車の普及プロセスを明らかにする」という全く同じ研究目的であるため、研究としての新規性・オリジナリティに欠けることを指摘されました。
そこで今更ながらですが、若干研究の方向性が変わりそうです。研究に行き詰っている僕を見かねたK先生が、人工物工学研究センターのN先生を紹介してくださったのがきっかけです。N先生と話し合った結果、「電気自動車普及における政府の政策意思決定プロセスのモデル化」のようなテーマで話を進めています。N先生は社会システム工学、特にマルチエージェントシステムやメカニズムデザインと呼ばれる分野を専門にしていらっしゃる先生です。消費者や生産者(自動車メーカー)、燃料ステーションの供給者といった様々なプレーヤーが存在する中で、どのようにゲームのルールを設計すれば「電気自動車の普及」という国として正しい方向に導くことができるかを、政府の意思決定という観点から考察しよう、というような話になっています。(自分でもまだ全然頭が整理できていませんが…)
というわけで、11月中旬までに一度この新しい方向性での研究計画を発表しなくてはならないので、最近はその準備に追われています。具体的には、ゲーム理論やメカニズムデザイン関連の本を買い漁って読み進めている毎日です。正直修士論文がこんなに大変なものだとは思っていませんでしたが、残り3カ月ちょっと、たっぷりと研究に時間を費やして何としても成果を出したいと思っています。