読書について〜基礎に立ち返る〜

様々な人たちのブログやTwitterでのつぶやきを見る中で、自分の読書について思うことがあったので、備忘録として書き記しておきたい。


○ 読書を始めたきっかけ
僕は小学校から中学、高校まで読書の習慣が全くなかった。おかげで受験勉強においても現代文は常に足を引っ張る科目であった。センター試験の本番や模試でも、英語、数学、理科はほぼコンスタントに満点近い点数を取れたが、国語だけは点数が最後まで安定しなかった。そんな僕が一番初めに読書に興味を抱いたきっかけは、和田秀樹さんの本だったように思う。高校三年生の夏にバスケ部を引退して、受験勉強を本格的に始めようとした時、予備校に通っていなかった僕は何とかして残りの短い期間で大学に合格できないかと考え、たまたま和田秀樹さんの「新・受験技法 東大合格の極意」を手に取った。その本に書いてあった指針に従って勉強を進めたところ、成績はどんどん向上し、受験も難なく乗り切ることができた。わずか数千円のコストをかけることで、著者が長年にわたって研究してきた知見を享受できるとは何と素晴らしいことなんだろうと強く感じた。


○ 大学生の時の読書
大学生になり読んだ本の中で最も印象に残っているのは、茂木健一郎さんの「感動する脳」という本である。「高い欲望を持つことで、考える力が養われ向上する」「不確実性へのチャレンジこそが脳を活性化する」といった言葉は、引っ込み思案であった僕の大学時代の様々なチャレンジを後押ししてくれた。本は人の思考や行動習慣まで変える力があるのだと思った。
こうした経験から読書の魅力をようやく認識し、本を読む頻度が加速度的に上がっていった。ただ、大学生に入るまでほとんど本を読んでいなかったために、難解な本は頭に入ってこず、途中で投げ出してしまうことが多かった。そのため、流行りの社会的事象を平易な言葉で解説した新書や、自分の生活の向上に直結する自己啓発本の類を主に読むようになった。こうした本は、読書の習慣を定着させる上では大いに役立ったように思う。おかげで、大学生後期から現在までは、平均して週に一冊くらいのペースで本を読むようになった。


○ 基礎に立ち返る
もっと「古典」やいわゆる「教科書」など、基礎に立ち返ることの必要性を感じている。例えば自己啓発本を例にとる。これまで勝間和代さんとか本田直之さんとかの自己啓発本を結構読んだ。しかし最近、こうした著者の本は、「7つの習慣」や「自助論」といった過去の名著の内容を寄せ集めて組み合わせただけのケースが多いことに気付き始めた。もちろん、過去の名著の内容を現代の文脈に合うように分かりやすく書き換えて紹介してくれている点で、こうした本に価値があることは間違いない。ただ、書かれている内容が時間の変化とともに陳腐化しやすい、知識が断片的になりやすいという欠点があるように感じている。
また私は、経済官庁に勤めていながら、恥ずかしいことにケインズシュンペーターフリードマンなど、いわゆる経済学の「古典」をきちんと読んだことがない。今後の仕事人生において自分が拠って立つ原点を確立するためにも、今後はこれら古典的名著にもチャレンジしていきたい。同時に、いわゆる「教科書」に立ち返ることの必要性も感じている。2011年は経済学関連の新書を何冊も読んだが、基礎となる経済理論の理解があやふやな部分が多かったように感じる。また仕事の中で政策を作っていく過程でも、きちんとした経済理論や統計データなどに裏打ちされた政策を打ち出していくことがもっと必要だと感じている。そのため、ミクロ経済、マクロ経済、国際経済などのいわゆる基礎的な教科書に立ち返る必要性も感じている。
さらに、社会人になり読書に割ける時間も減った。限られた時間の中で効率的に読書から学びを得るには、長い年月にわたる淘汰のプロセスを経て残った古典や教科書を読むことが重要ではないか。


今後はこのブログ上でも積極的に内容をまとめて発信していきたいと思っているので、色々と意見を寄せてくれると嬉しいです。