社会人になり思うこと

以下は、新人研修でわが省の幹部から言われた最も印象に残った台詞。

  • 君たちは、「政策」×「人を動かす」プロフェッショナルを目指しなさい。
  • 「政策」のプロフェッショナル

→政策の立案者は政治家、地方自治体、海外の行政機関…と多様化し、今は政策競争の時代に入っている。特に、今後は政策の開発者として地方自治体の役割が重要になってくる。例えば、二酸化炭素排出権取引制度は東京都が一歩先んじて立案している。また、政策開発のフロンティアは無限大である。わが省の行政官は、常に一歩先の政策を開発していかなければならない。

  • 「人を動かす」プロフェッショナル

→"政策"という商品は"国民"というお客さんに共感・理解してもらう必要がある。行政官には、なるべく多くの人の共感を得られるような"政策"を開発する力が求められている。そのためにも、仕事を通じて「人を動かす力」を身につけることが非常に重要。


上に引用したようなうちの幹部の言う通り、一年目の今はひたすら「人を動かす力」を集中的に鍛えられている感じだ。どういう頼み方をすれば仕事を引き受けてくれるか、どのタイミングでどのように説明すれば上司の納得が得られるか、そういったことを日々考えている。正直、大学院で勉強した経営学の知識、電気自動車の知識等はほとんど使っていない。
うちの省では、一年目は課の総括というポジションにつきます。具体的には、大臣や副大臣等の政治家案件、他省庁からの仕事の依頼を全て一括して引き受け、それを課内のしかるべき人にお願いして作業してもらい、内容を取りまとめ、上司の決裁をとり、最終的に仕事の発注先に返すという役割です。この総括という仕事を右も左も分からぬ一年生にやらせることで、「人を動かす力」を徹底的に鍛えようというのがうちの省の方針のよう。
実際この総括という仕事を二ヶ月間してきた中で、自分の人生経験の浅さ、人間力のようなものが圧倒的に不足していることを日々痛感します。学生時代、中高のバスケットボール部の副主将経験や学生団体の代表経験を通じてある程度意識して身につけてきたつもりだったけど、それはあくまで同年代の同じようなバックグラウンドの人たち相手のこと。年齢も立場も性格も全く異なる人たちに動いてもらうのは想像以上に難しい。実際、職場には自分と同年代の人から40代・50代まで様々なタイプの人がいる。明るい人もいれば暗い人もいる。論理的な人もいれば感情的な人もいる。その人たちにどのように仕事をお願いし、また納得のいく説明をするかは、常に試行錯誤の連続です。そりゃ、ただでさえ忙しく多くの業務を抱えているのに、突然入ってきた一年生に、よく意図の分からない面倒な仕事を振られたら誰だって嫌な顔をしますよね。林文子さんの「仕事を通じて人生を学ぶ」、伊藤忠の丹羽さんの「人は仕事で磨かれる」というのは言い得て妙だなぁと感じます。毎日、仕事を通じて人間を学んでいる気がします。

将来、自分がやりたいと思う政策を立案・開発できるポジションに就いた時に、周りの人に実際に共感してもらえるよう、一年目の今はひたすら「人を動かす力」を身につけられればと思います。