次期選挙や官僚批判についてちょっと一言

来年から自分が国家公務員になるということもあり、政治について今まで以上に強い関心を持ち、自分に引き付けてリアルな問題として考えるようになった気がします。以下はあくまで一学生の完全な素人意見なので、誤解や失礼な話があったら申し訳ないです。「それは違うんじゃないの?」って意見があれば遠慮なくコメントください。


【次期選挙と今日の党首討論
次の衆議院議員選挙では民主党が勝利し、政権を取る可能性が高いのではないかと言われています。ただ非常に不安なのは、「今までずっと自民党だったし、一回くらい民主党になってもいいんじゃない?」「麻生さんって何だか頼りにならないし、何となく鳩山さんの方が信頼できそうだし。」といった程度の理由で民主党に票が集まり、民主党に政権が代わってしまうことです。どれだけの有権者が各政党の政策の違いを吟味した上で投票しているのでしょうか。

そういう意味で、今日の党首討論は自民・民主両政党の政策の違いが明確に見えて面白かったです。特に、経済成長に対する考え方が自民党民主党では正反対だなと感じました。自民党は、「景気回復を最優先事項として考え、向こう三年は経済全体のパイを大きくすることに注力する。そうして国の税収を高めた後で、年金制度や少子高齢化対策にじっくりと取り組んでいく。」という方針のように見受けられました。民主党は、「まずは家計を助けることを優先的に行っていく。そのために子供手当や高速道路無料化・暫定税率廃止といった施策を実施していく。家計の可処分所得を増やし、国民の消費意欲を高めることで内需を拡大していく。」という方針だと思いました。まずは景気回復という自民党の方針と、まずは家計を助けようという民主党の方針とでは、どちらが正しいかとは一概には言えないと思います。ただ個人的には、経済成長に対する考え方については、当面は景気回復を最優先として注力する自民党の方針の方が共感できます。どの国もリーマンショック以後の大不況から完全には立ち直りきれていない中で、他国に先駆けて日本企業の国際競争力を取り戻すためにも、今企業にてこ入れをすることが必要だと思うからです。



民主党の「脱官僚」について】
来年国家公務員(いわゆる官僚)としてとして働くことになる立場なので意見に偏りがあるかもしれませんが、民主党の「脱官僚」という言葉には違和感があります。社保庁問題などでイメージの悪い官僚を悪者に仕立てることで有権者の支持を得ようという戦略なのかもしれませんが、官僚が果たしてきた役割や存在意義を歪めて国民に伝えてしまっているような気がします。そもそも政治家と官僚とは相互に補完し合って役割分担をしているのであって、どちらが上でどちらが下かという議論は不毛であると思います。有権者から選ばれた政治家が国の大きなビジョンを描き、官僚がそれを具体的に実行していくために緻密な調査・ヒアリングや法律・法案作りを行うという役割分担がなされているのだと思います。もちろん「官僚内閣制」と揶揄されるように官僚のパワーが強くなる傾向にあり、そのため民意が反映されにくい等の弊害は多く生まれたと思うので、改善すべき点は改善するべきだとは思います。けれど、一方的に官僚を敵に仕立てる民主党の選挙戦略にはあまり共感は持てません。



【世間の国家公務員に対するイメージについて】
世間の人たちの一般的な官僚のイメージはどのようなものなのでしょうか。雇用が確保されていることに安住して仕事もろくにせず、将来天下りをして甘い汁を吸うことばかり考えている人種なのだという偏見を持っている人もいると思います。もちろん中にはそういう志の低い人もいるのかもしれませんが、少なくとも僕は一人としてそういう国家公務員あるいは国家公務員志望者を見たことがないです。特に最近では、天下りをしたいからという低俗な理由で国家公務員になる人なんてまずいないと思います。優秀で成長意欲の強い東大生の多くは、給与が高く若いうちから多くの成長機会に恵まれる外資系コンサルや外資投資銀行、総合商社を志す傾向にあります。それでも国家公務員になりたいという人は、少なくとも「国を良くしたい。日本に貢献したい。」という高い志を持って志願しているように思います。僕が現在所属しているTMIの同期と学部時代の都市工学科都市計画コースの同期は合わせて70人ほどいますが、官僚になるあるいはなったのは僕含め3人だけです。国を良くしたいという想いを持って残業代も十分に出ないのに日々一生懸命働いている人たちの現状をもっと知ってほしいなと思います。マスコミも官僚の負の側面を伝えるだけでなく、公正な視点で頑張っている官僚にもスポットライトを当ててほしいと切に願います。このまま批判を続ければ、国家公務員を志す優秀な若い人たちが本当にいなくなってしまうのではないかと危機感を持っています。