フラット化する世界で求められる人材

日本IBMの元副社長の丸山さんの「技術・製品開発マネジメント」の授業では、俯瞰的な視点から「今後世界で活躍するために求められる人材の資質とは何か?」という興味深いテーマを扱っています。丸山さんはとても温和で人柄の良さが滲み出てくるような人で、いよいよ夏休みのインターンシップが始まる今の時期にぴったりの授業をしてくれています。前回の授業の内容が非常に面白く有意義だったので、忘れないうちにまとめておきたいと思います。

  • 最近よく耳にする地頭力とは何か?突飛な質問を聞かれた時も、何とか自分なりにもっともらしく答えられる力。社会に出たら完璧なルールがない中で、いかに周りの人にもっともらしいと思わせられるか。
  • フラット化する世界によって、世界の製造業は中国に、ソフトウェア産業はインドに集約されつつある。人件費・製造コストが圧倒的に安い中国やインドが競争力をつけ始めた中で、日本の強みは何か、日本人はどのような能力を磨く必要があるのか。
  • フラット化する世界ではビジネス環境や求められるスキルがどんどんと変わってくるから、分野が変わっても研究のやり方を勉強しそこでもすぐに成果を上げられる能力が求められている。その他にも、IQや左脳の力に優れているインドや中国の人材にはできない点、すなわちPQ・CQ(PassionとCuriosity)、人を好きになる力(人望があること)、人とうまくやる力(空気を読めること)、右脳の資質が求められる。
  • 東大生は学力や知識は持っているが、コンピテンシーを持っていないことが多い。コンピテンシーとは1970年代ハーバード大学の教授がアメリカの外交官の業績を調査した結果、「学歴」や「教養」、「知識」ではなく「動機」や「価値観」、「概念化思考」といったものが業績の格差を生んでいることが明らかになった。これらの「動機」や「価値観」、「概念化思考」をモデル化したものをコンピテンシーと呼ぶ。
  • コンピテンシーとは具体的には、適応力や俯瞰力、コミュニケーション力、積極性、チームワーク、誠実さ等のことを指す。
  • コンピテンシーは埋もれていることが多いため、まずはそれに「気づく」ことが一番重要。気づくことができれば、それを育てることも可能。

【感想】
優秀な中国人やインド人にはできなくて、自分にしかできないことって何なのか、常に頭の片隅に入れながら日々過ごしていきたいと思いました。個人的には、「人とうまくやる力」は後天的にも十分鍛えられると思うけれど、「人を好きになる力」はある程度先天的に(学生のうちくらいに)決まってしまうのかなぁと思います。小さいとき人間嫌いだった人って割とずっと人間嫌いだったりする気がします。僕は基本的には人が好きですが、いまだに苦手なタイプの人とはあまり話さなかったりする面も持っているので、学生で頭の柔らかい今のうちに色々なタイプの人を好きになる訓練をしておきたいです。
「分野が変わっても勉強して成果を上げられる能力」は社会に出たら絶対に必要だと思いました。ビジネス環境は絶えず変化しているし、大学時代に学んだ勉強がそのまま生かされる仕事ってほとんどないのではないでしょうか。僕自身、6月下旬には研究室に配属されるのですが、その新しい研究室でいかに学習のスピードを高めて研究成果を上げるか、を意識しながら研究を進めていきたいです。特に僕は学部時代は工学部であるにも関わらず、複雑な数式や数理的処理から逃げてきた部分があるので、大学院では数学やプログラミングを意識的に勉強して研究成果を出していきたいと思っています。