行政官として必要なことと「日本のあるべき姿」

今日、内定先から出されていた政策課題のプレゼンテーションをしてきた。今回与えられた課題は、「2050年の日本社会・経済のあるべき姿を考えたうえで、あなたが必要だと思う政策を具体的に提言せよ。」というものだった。プレゼン後に、人事担当の課長補佐の方から、これから行政官として働くうえで心掛けるべき点について非常に有意義な話が聞けたので、忘れないうちにメモしておこうと思う。

  • 行政官として、「日本社会・経済のあるべき論」と「どうやって実現するか」の2つを常に考え続ける必要がある。特に、入省して1,2年は、ともすると忙しさにかまけて「あるべき論」を考える余裕が全くなくなってしまう。日々の単純作業の積み重ねが「日本のあるべき姿」にどのように寄与しているかについて、立ち返って考える時間が必要である。
  • 「どうやって実現するか」については、ただ受け身で待っているだけでなく、自分から能動的に動くことが何より大事。具体的には、外部のキーパーソンや官邸に対して、自分の実現したい政策の意義・必要性をインプットしに行かなければならない。さらにメディアを巻き込んで、自分の実現したい政策を後押しする世の中の流れを作ることも重要。そうすれば、必要な政策資源を獲得しやすくなる。
  • 政策資源は限られている。だからこそ、お金をかけなくとも自分が正しいと思う方向に自律的に進んでいく方法を考えるべき。そのためにも、民間企業のオペレーションまで落とし込んで考えて、民間企業が自然と動くような仕組みを作ることが重要。国が介入しすぎてしまうと、民間が国に依存し自ら動かなくなる。


上にも書いたように、4月からは日々の業務をこなすことで精一杯になり、「日本のあるべき姿」について思索する時間がほとんどなくなってしまうように思う。だから、学生生活最後の時点での僕自身の考えということで、青臭いとは思うけれど、書き記しておこうと思う。ここから先に述べることはあくまで僕の個人的な価値観・意見が大いに含まれていて、間違っている点や不十分な点も多いと思うので、何かコメントあれば是非ください。

「日本社会・経済のあるべき姿」について思うこと
日本は製造業各社の持つ技術力をさらに磨きあげ、それを用いて環境・エネルギー問題など地球規模の問題解決に貢献する「環境技術大国」を目指すべきだと思う。なぜなら、日本には原子力や太陽光・風力などの新エネルギー技術、自動車や省エネ技術、鉄道や水道技術などの分野において、世界トップレベルの技術を持つ企業が多く存在する。東芝三菱重工、日立、シャープ、トヨタ、ホンダ、JR・・・と産業分野ごとに世界のトップ5、トップ10に入る企業を数え上げればキリがない。その技術力を地球環境問題やエネルギー問題、新興国のインフラ整備など地球規模の問題解決に活用すべきだと思う。
日本人が自国に対して誇りを持ち、世界から尊敬を集める上でも、これらの日本の製造業の持つ高い技術力こそが鍵になるのではないかと考える。

この「あるべき姿」をふまえ、僕が経産省で実現したいことについても触れておこうと思う。
3月21日の読売新聞の一面にも出ていたように、原子力発電所や鉄道などの大型インフラ事業の受注を目指した官民一体の取組みを経産省が主導しようとしている。(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100321-OYT1T00119.htm)連携が不十分だったメーカーや電力会社、JR、商社等の事業会社が一体となって年間144兆円ともいわれる新興国のインフラ需要を取りに行く狙いである。僕が経産省で将来的にやってみたいのも、まさにこの記事にあるような官民一体の取り組みで海外の需要を取りに行くようなプロジェクトである。日本の製造業各社を取りまとめ、JBICやJICA等の金融面の支援も取り付け、環境・新エネルギーやインフラ関連の技術をトータルに輸出するようなプロジェクトを仕掛けてみたい。経産省の出る幕ではないという意見もあると思うが、このような国家規模の大規模なプロジェクトでは、政府が直接的に相手国政府に働きかけた方が受注しやすくなると考えるからである。
このような官民一体の取り組みを通じて、日本の製造業は外需を十分に取り込めるし、同時に自国の技術力により地球規模の問題解決に貢献している点で日本の世界的なレピュテーションも高まるのではないかと思う。