スイスから帰りました

TOEIC,TOEFL
1月上旬に受けたTOEICTOEFL-ibtの結果が返ってきました。TOEICは今までの最高点を5点だけ更新して、975点でした。(L495、R480)TOEFL-ibtは最高点より2点低い100点でした。(R29、L27、S22、W22)Writingの点数が大きく下がったけれど、冬学期特に力を入れてきたSpeakingで今までで最もいい点数を取ることができました。
ただ今回スイスの国際会議に派遣され、TOEICTOEFL-ibtで点数を取れても、実務レベル・アカデミックレベルの英語の運用能力となると海外の学生に比べ圧倒的に不足していることを身にしみて痛感しています。とにかく英語は大学院の残りの一年間も引き続き重点的に勉強し続けていきたいと思います。


【SSS/AGS-AM2009】
1月24日から2月2日まで、スイスのチューリヒで開催されたSSS/AGS-AMという「地球の持続可能性」について考える国際会議に東大から派遣されて参加してきました。今回は前回のカナダでのSSSと違い、一参加者としてではなくEB(Executive Board)メンバーとして東大からの派遣者12名を統括する役割もあったので、「楽しむ」というよりは「頑張らないと」という義務感・責任感の方が大きかったように思います。
大きなニュースとして、来年のAGS-AMは2010年3月に東大で開かれることになり、それに伴い今回のスイスでの会議のように世界各国から学生を招き、LectureやWorkshop、交流イベントを僕の所属する学生団体であるSUS+が企画運営することになりそうです。修士論文の作成と重なり相当時間的・労力的にもタフな仕事になりそうですが、他のメンバーと協力し合って何とか成功に導ければと思います。


ところで、今回のスイスは件で得られた気づきはかなり多かったので、いくつかトピックごとに書き残しておこうと思います。

  • 英語力

自分で言うのもはばかられますが、昨年のカナダの時と比較して、日常会話の理解度・表現力についてはある程度向上したように感じました。前回のカナダの時は英語力のなさからタイや中国等のアジア系の学生で自然と群れてしまう傾向にありましたが、今回は英語に少し自信が持てたこともあり積極的にスウェーデン人やアフリカ系等の全く異質の文化の人とも交流を深めることができました。もちろんまだ完全に溶け込むことはできていないですが、ある程度の進歩が得られたことには満足しています。
ただAcademicな話題でDiscussionするとなると、まだ圧倒的に英語の理解力・表現力が不足していると痛感しました。日本語でさえ議論するのが難しい抽象的・概念的な内容を、いざ英語で理解し発言するとなると、海外のトップレベルの学生と比較し歴然とした力の差を感じました。
Academicな話題で海外の学生と対等に議論するためにも、英語を日本語に変換せず、英語を英語のまま思考する癖を普段から意識的にトレーニングしていこうと思いました。と同時に、圧倒的に英語のVocabularyが不足していることも実感したので、学術的な語彙から日常的な語彙まで、自由に使いこなせる語彙を地道に増やしていこうと心に誓いました。

  • Sustainability学

僕自身は学部時代は都市工学、大学院では技術経営を専攻していて、Sustainability学というものに対する知識はあまりなく、今の時点では深く語ることはできません。ただ一つ確かにいえるのは、Sustainability学が広範な学問分野が複雑に絡み合った学際的な学問であることです。Sustainability学が最終的に目指す地点は、世界各国の持続的な経済発展を妨げることなく、温暖化を初めとした地球規模での環境問題を解決していくというものだと認識しています。実際、今回のスイスでの会議では、交通を含む都市計画のトピックから、水や廃棄物に関するトピック、原子力や風力等の代替エネルギー地政学(Geopolitics)、経済学・金融、Open Sourceの活用といったITの話まで実に多種多様・広範に渡りました。さらに驚いたことには、スイスのETHの学生を初めとする世界の同世代の学生がそれぞれの専攻分野に関わらず、どのトピックについても自分なりの意見を明確に持ち専門家・教授にそれをぶつけていた点です。僕自身は、学部時代に学んでいた都市計画や現在学んでいる経営学に関する話になればある程度自分なりの意見を持つことができましたが、その他のエネルギー分野や地政学といった今まで学んでこなかったトピックでは議論についていくことさえできませんでした。
来年のAGS-AMでの学生会議をホストするのにあたり、僕個人としての課題として、好奇心のアンテナを常に張って、自分の興味・専攻とは全く異なる学問分野についても自分の言葉で最低限語れるくらいの知識をつけたいと思っています。

帰りの飛行機の中で、参加者の日本人の友達の一人と「ノブレス・オブリージュ」について話しました。「ノブレス・オブリージュ」とは「高い地位や身分の者にはそれ相応の重い社会的責任・義務が伴う」とする考え方だと理解しています。今回のSSS/AGS-AMではバングラデシュ南アフリカタンザニア等のいわゆる発展途上国と言われる国からの参加者がいました。彼らは欧米の大学で学んでいる各国のトップ・エリートなのだと思いますが、総じて「ノブレス・オブリージュ」たる意識が強いように感じました。今回の会議でも高い意識を持って貪欲に知識を吸収し、世界各国の学生・教授とネットワークを広げていて、最終的には自国の発展のために尽くすリーダーになろうという強い気概・志をひしひしと感じました。
僕自身、国家公務員を志すにあたり、最近この「ノブレス・オブリージュ」という言葉を意識することが多くなりました。今までの人生を振り返ると、僕は両親から中高と私立の一貫校に通わせてもらい、大学も国立大学から質の高い教育を与えてもらい、大学院も一学年25人という少人数の専攻で教授や外部講師から密に教育を受けさせてもらっていると思っています。さらには、昨年のカナダ・今年のスイスへの国際会議派遣、シリコンバレー研修への派遣等、海外で視野を広げる貴重な経験もさせてもらったと思っています。
全ての人が「ノブレス・オブリージュ」という意識を持つことが正しいということではもちろんないと思います。この考えは一歩間違えれば行き過ぎたエリート意識にもつながる気もします。ただ少なくとも僕は、両親や中高、大学、ひいては国から密度の濃い最高の教育を受けさせてもらってきたと思っているし、将来組織の中でリーダーとして人の上に立ち、とてつもない重圧を感じる仕事を任されたとしても、逃げずに責任を全うする義務があるんじゃないかと感じています。


日本人参加者でソーラン節を踊りました

最終日のパーティでの記念写真